泡盛といえば、全国的に最も知られた銘柄の一つが、「久米仙」ではないでしょうか。2021年で創業69年目を迎える久米仙酒造は、1日におよそ一升瓶4200本分もの泡盛を製造する県内有数の大規模なメーカーです。
それほど多くの量を作っているのなら、きっと製造地は郊外に違いない…、と思いきや、実はメインの工場があるのは那覇市街地。商店や住宅が集まる賑やかな場所に大きな工場を構え、周囲に漂うお米や麹の香り含め、町の人々に長年親しまれています。
味も香りも全く異なる個性豊かな泡盛を作り続ける久米仙酒造。泡盛業界において新たな試みに次々と挑み続ける、いわば「泡盛界のベンチャー企業」でした。
久米仙酒造がほかのメーカーに先駆けて行ったことの一つが、泡盛を樽貯蔵したことでした。この手法を始めた平成初頭、世の中は高級ウイスキーがブーム。その流れをいち早く泡盛作りにも取り入れ、バーボンのような濃厚な風味に仕上げるべく樽貯蔵をはじめたところ、大ヒットとなりました。その後は「泡盛珈琲」や「シークワーサーサワー、完熟たんかんサワーの素」などのリキュール類も次々に開発し、近年消費量が減り、元気を失いつつある泡盛業界に一石を投じ続けています。
久米仙酒造では新しい商品の開発と並行して、情報発信にも積極的に取り組んでいます。その一つが、オフィシャルサイトの充実。専任の担当者を数名置き、通販はもちろん泡盛の飲み方や、食事との組み合わせ方などの発信にも注力し、泡盛離れが進むといわれる若い世代へもアプローチしています。
今回の取材でお話を伺った代表取締役の比嘉洋一さんによると、久米仙酒造が創業した頃は戦争の影響もあり、泡盛文化が途絶えかけたそうです。「しかし弊社は『一歩進んだ泡盛造り』をモットーに新しいことに挑戦し続けたことで発展でき、また多くの先達の力で、この素晴らしい文化が継承されました」。伝統を大切にしながら、泡盛の新しい可能性を求めて邁進する久米仙酒造。返礼品から、その心意気をたっぷり感じてください。