菓子作りに使用する原料はハトムギと、ハトムギの焙煎に使う塩、そして砂糖。シンプルな中に確かな愛情と手間暇が詰まっています。口に入れるとサクッと軽い口当たりに、優しい甘みとハトムギの香りが広がります。
「薏苡仁糖(よくいにんとう)」というお菓子が、50年のときを経て現代に再現されたことをご存じでしょうか。いわゆるおこしようなこのお菓子は、380年前八代城のお殿様、細川忠興・三斉公が考え出したもので、菓子屋「菱屋」が代々、八代の銘菓として永く伝えてきたものです。
昭和30年代にはすっかり姿を消してしまった古銘菓。これを何とか復活をさせたいと菱屋の末裔である岩本さん監修のもと、「肥後はとむぎ会 日月亭」の柳口さんと、「熊本県アグリビジネスセンター」、そして地元企業「西田精麦」とが共同で研究や試作を重ね、この4月に見事再現を果たし、販売を開始したのです。
早くも松浜軒で行われた肥後古流の菖蒲茶会の席では、茶菓子として振舞われ、大変好評を得たそうです。「着手から販売まで約5年を要しました。お茶会の席で皆さんの口に運ばれた時には思わず感極まりました」と柳口さん。普段より少し特別な茶菓子として、皆さんに楽しんでもらいたい、思いがあります。
そもそも「よくいにん」とは、ハトムギが漢方名で呼ばれるときの言葉です。ハトムギは美容と健康に〝たいへん良い〞と若い人たちからも注目を集めています。また茶菓子としてだけではなく、コーヒーやミルクなどと一緒に食べてもおいしい銘菓。ぜひ、取り寄せて味わってください。