「ALONGU 明論具」が生まれる長崎県波佐見町は、400年前から窯業を行う焼き物の産地です。
ここには世界でも有数の大きさを誇る登窯の史跡が残っていて、古くから地域一体となって焼き物を作っていたことがわかります。
大きな登窯を使うためには、地域の職人達が協力して大量の器を窯入れし、当番制で火を見張る必要がありました。
また波佐見町では山間の斜面に広がる棚田の稲作でも、同じ水源を地域で共有し作物を育ててきました。
下から上っていく登窯の火とは対照的に、水田では上から下に協力しながら水を巡らせていきます。
古くから地域の人々が力を合わせ、ともにつくる姿勢が現代まで受け継がれている波佐見で、「共に(Along)」という言葉を起点にしたブランド「ALONGU 明論具」を立ち上げました。
「ALONGU 明論具」の器は、自然のもたらす釉薬の濃淡によって生みだされる一点一点の異なる表情が大きな魅力です。
ゆえに均質性の観点からこれまで「B品」とされてきた存在を生み出さない取り組みを行なっています。
全てが均一に仕上がるイメージを持たれやすい磁器製品ですが、実は自然の陶石を原料とし、季節や気候の影響で窯の環境が変化することや、
職人の手作業など様々な人の手が関わり生産されており、これまで検品の基準とされてきた「鉄粉」や「釉薬のむら」なども、実はごく自然に発生するものなのです。
「ALONGU 明論具」では、その素材が持つ魅力と自然が作り出すありのままの表情を活かすために、結晶反応が起こりやすい表情の豊かな釉薬を積極的に採用しています。
また、木製品も素地の風合いが感じ取れる半透明のブラウン塗装を施しました。
小さな点やムラが不良品とされてきたこれまでの当たり前を、これからは一点一点それぞれが持つ魅力として捉えられるように、生産者、購入者と共に新しい感覚を築いていきたいと考えます。