1350年以上の歴史を持つ太平洋が一望できる露天温泉や、打ち寄せる波がつくりだした大岩盤の絶景など、湾岸沿いに多数の観光スポットが密集し、リゾートタウンとして発展してきた和歌山県白浜町。そこから東へ車を走らせると、和歌山県内で唯一ダムの無い主要河川「富田川」にたどりつきます。返礼品の製造元である株式会社一冨士の工場は、その富田川の程近くの丘の上に構えられています。
植物ポリフェノールの一種である梅リグナンやクエン酸、カテキン酸など、さまざまな栄養成分が含まれ、昔から「一日一粒で医者いらず」と言われるほど健康に良いとされる梅干し。しかし、「すっぱいのが苦手」「塩分が気になる」と、食べるのをためらう人もいるかもしれません。そんな方にぜひおすすめしたいのが、一冨士が手掛ける「紀州南高梅《つぶれ梅セット》はちみつ梅 塩分約3%」です。
大粒の紀州南高梅を使用していることも魅力ですが、特筆すべきは、塩分を約3%に抑えていること。梅干しの概念を覆し、口触りの良いさっぱりとした甘味と上品な酸味を味わうことができるので「フルーツ梅干し」とも呼ばれ、その味わいは、果実の風味や食感が楽しめるヨーロッパの伝統菓子「コンポート」を彷彿とさせます。
しそ味やハバネロ味など、梅を加工したさまざまな商品展開を行っている一冨士のなかでも、このはちみつ味の梅干しはリピーターが後を絶たない主力商品。「食卓やお弁当の白米に添えるのもいいですが、食後のデザートやお茶請けにぴったりだとおっしゃられるお客さまが多いですね」と話すのは、長年商品づくりに携わる岡上 宇視(おかうえ たかし)さんです。
肉厚でとろける果肉と薄皮が特徴の紀州南高梅。それゆえに、とてもデリケートで、加工の際に皮が破れてしまいます。その梅を廃棄せず選別して「潰れ梅」として商品化することで、和歌山県が誇るブランド梅をより手軽な価格で各家庭に届けることができ、食品ロスの解決にもつなげています。
岡上さんは「皮が破けていても味や品質には全く問題ありません。むしろ、皮の破けたところから調味液が染み込んでいくので、潰れ梅ってとてもおいしいんですよ」と教えてくれました。
一般的に流通している梅干しの多くは、梅農家が塩漬けし天日干しした「白干し梅」を原料とし、塩抜きを一回して塩分を10%前後に落として販売されています。健康のことを考えると塩分をもっと下げたいところですが、単に塩分濃度を下げただけでは間の抜けた味となり、日持ちもしづらくなります。
加工の難易度が高いなか、一冨士はより健康的でおいしい梅干しを目指し、試行錯誤の末にオリジナルブレンドの調味液を編み出し、二回塩抜きをした白干し梅を漬けています。この製法により塩分を約3%に抑えつつも味わい深く、約半年間日持ちする梅干しづくりを実現しているのです。
なぜ一冨士はここまで減塩にこだわるのでしょうか。その背景には、次世代の梅干し離れをなんとか食い止めたいとの思いがありました。はじまりは10年以上前。「塩分濃度の高い昔ながらの梅干しは、ご年配層には人気があるのですが、お若い方ほど『すっぱい』『しょっぱい』と、苦手意識を持つ傾向にあります」と岡上さん。そこで、若者や女性をターゲットとした梅干しの商品開発に取りかかりました。
2010年頃、現在の商品の原点となる梅干しを開発。しかし、当時は手売りだったことから、流通範囲は地元が中心となっていました。より多くの人々に和歌山県が誇る紀州南高梅のおいしさを届けたいとの思いから、ネット販売を展開することになったのです。評判は日本各地へと広がり、現在では量販店への卸売りよりも、ネット販売が主な流通チャネルとなっています。
こうして、多くの人々に愛される商品となった一冨士の梅干し。今では「梅干しが苦手だったうちの子もおいしいと言って食べてくれています」といった嬉しいコメントが数多く寄せられているそうです。塩分約3%なので、お子さんだけでなく、健康的な食事を心がけているご高齢の方や妊婦さんにもおすすめです。
岡上さんは「今後も、お客さまに末永く商品を愛していただけるよう、一冨士のスタッフ一同、一粒一粒愛情を込めて梅干しをつくり続けてまいります」と想いを語ってくれました。梅干しの新境地を切り開くこの返礼品を、ぜひ皆さんも味わってみてくださいね。
白浜町といえば、ハワイのワイキキビーチとの友好姉妹浜である白良浜や、町のシンボルとして親しまれている名勝の円月島(えんげつとう)、西日本最大級の海鮮マーケットなど、観光スポットが密集した湾岸沿いが有名です。しかし、海側だけでなく山側にも、梅干しの新たな楽しみ方を世の中に発信する素敵な場所があるのだと、今回の取材で知ることができました。
一冨士の梅干しは、従来の梅干しに苦手意識を持っている人こそ、お試しいただきたい返礼品です。一口食べれば「なるほど!フルーツ梅干しってこういうことか!」と、きっとご理解いただけると思います。
全国200軒以上のゲストハウスを旅する編集者。WEB「ゲストハウス情報マガジンFootPrints」代表。書籍『ゲストハウスガイド100 -Japan Hostel & Guesthouse Guide-』著者。和歌山市在住。理想の商店街をつくる2日間のマーケットイベント「Arcade」や「和歌山移住計画」のメンバー。
白浜町にお越しの際は、南紀白浜空港も便利ですが、パンダのラッピング電車に乗るのも楽しいですよ。