古都・奈良県三輪の腕利きの職人たちが築いた伝統の下、完璧主義を貫き作られる三輪素麺みなみの麺類。
中でも【極細そうめん神舞】は、新たなスタンダードとして揺るぎない人気を博しています。
手延べそうめんは、長年の経験と勘がないとなかなかうまく作れません。工程の一部は機械が使われていますが、職人が実際の生地に触れ、その日その日の環境に合わせて作るからこそ、変わらぬ品質が維持されています。
午前4時前。そうめん作りを始めて35年になる南敏幸さんの起床時間です。辺りはまだ真っ暗な中、起きたときの気温や湿度から、その日作るそうめんの原料の配分を頭の中で計算します。「分量を紙に書こうとしても無理。長年の感覚が頼りですわ」。南さんはそう話します。
手延べそうめんは、気温や湿度の微妙な変化で水と塩の量を変えて作ります。麺の固さや粘り気といった手延べの重要ポイントは、職人の経験と勘によるものです。
一日の気温のわずかな上下に気を配れるようになるまでに10~15年。ここまで来て、やっと一人前だと言います。これが20年ぐらい続けていると、今度はおもしろみに変化。
「今ではどんな天候でも来いって思うようになりました。自分の経験が増えたことで、どんな環境にも合わせて作れるようになってきたからね」
最新設備を導入し、自信が増したとしても、それでも自分勝手に作ると、やはりうまくいかない。
「そうめんの言うことを聞く。これが最も大事なことなんですよ。今日はどんな塩梅や?って話しかけるんです」と南さんは笑いました。
一生懸命作っていると、お客さんにその気持ちは伝わっていきます。
「たとえ出会いは偶然でも、一回買っておいしかったら、お客さんは次の機会にも買ってくれはる。ただし、変なものを売ってしまったら絶対あかん。安ければいいというもんではないからね」。
奈良県三輪素麺工業協同組合に加入している生産者は、現在75軒ほどしかありません。それでも、三輪そうめんの手延べの技術や伝統は、どこの産地にも負けていないという想いを、職人は共有しています。
「みなみのそうめん」ということではなく、「三輪そうめん」を全国の人にもっと知ってもらいたい。そして、この三輪そうめんの暖簾をこれからも大事にしていきたいと南さんは強調しました。
桜井市広報 『わかざくら』 2018年7月号より
そうめんは細いほど高級品とされていますが、『極細』『細物』は技術上、腕の良い素麺師でなければ作れません。
その為、大量生産ができず出荷数が限られております。