縁起の良い鳥として知られるコウノトリですが、実は70年代に一度絶滅(野生絶滅)していたのをご存じですか? 終戦後、米の生産を増やすために、日本中の多くの田んぼで農薬を使った効率農業が推進されるようになりました。しかし、田んぼからカエルやトンボが姿を消したことによって、これらをエサとしているコウノトリも、日本から徐々に姿を消していったのです。
コウノトリにゆかりがある兵庫県但馬地域は、この事態に真っ先に向き合いました。コウノトリの人工飼育を行うとともに、「コウノトリ育む農法」に地域を挙げて取り組むことになったのです。
米の栽培期間以外も、田んぼに水を入れるのは、トンボの幼虫ヤゴや、カエルの子どものおたまじゃくしが育つように。
人間本位のやり方で水管理をしていると、中干しのタイミングが難しくなります。
ヤゴは羽化してトンボになり、おたまじゃくしは足が4本出てきたら、水がなくても生きていける。それが田んぼから水を落としてもいいというサインなんです。
コウノトリを呼び込むには、田んぼで共に生きている『いきもの』たちのサインを見逃さず、水管理を行うことが必要なのです。
トラクターで田んぼを耕していると、本当に時折コウノトリが舞い降りるようになりました。
食べ物があるからなのか、居心地がいいのか分かりませんが、とにかく人がいても、かなり近くにまで来てくれますよ。