鵜方紅茶は、明治から昭和初期にかけて盛んに生産されており、大正9年第四回全国製茶品評会の紅茶部門で一位、大正11年に平和記念東京博覧会で銀杯、昭和3年の大礼記念国産振興博覧会で優良国産賞として金牌を受賞する輝かしい成績を収めていました。しかし、戦後は生産者の高齢化と安価な輸入製品の普及に押され鵜方紅茶の生産が途絶えていきました。
平成29年に、鵜方紅茶の歴史的な背景や過去の高い評価に着目した旧JA鳥羽志摩(現JA伊勢)が地域の活性化を図るため、鵜方紅茶を復活させようと取り組みを開始。鵜方地区にわずかに残存していた紅茶用の品種「はつもみじ」と「べにほまれ」を生産している生産者と三重県普及センターとともに試験製造をスタートし、平成30年の第7回紅茶フェスティバルin尾張旭の国産紅茶グランプリ2018では、チャレンジ部門で金賞を受賞しました。
新たな生産者も増え、今年(令和2年)で鵜方紅茶は4年目を迎えました。
今年(令和2年)は6月下旬に「はつもみじ」などの2番茶のやわらかい新芽を丁寧に摘み取りました。
摘み取り後の葉は、発酵を促進するため「萎凋(いちょう)」という工程を行いますが、「萎凋(いちょう)」には、三重県志摩市の郷土食として親しまれている干し芋「きんこ」を干すセイロを応用し、この地域ならではのオリジナルな加工風景となっています。
揉捻機において、「揉捻発酵(じゅうねんはっこう)」(茶葉に傷をつけて発酵を促す工程)を行います。この工程においては、むらなく発酵を促すことが大切です。その後、しばらく寝かせることにより更なる発酵を促します。
発酵をとめるための乾燥という工程を2度繰り返し、塊になった茶葉の玉ときふるいわけを行います。揉捻機と乾燥機を使うだけであとは手作業で鵜方紅茶は完成します。
今回製造した鵜方紅茶も、シルバーチップと呼ばれる、旨み成分の詰まっている芯芽の部分が多く含まれた上等の紅茶となりました。
鵜方紅茶のロゴマークは、「日の出、日の入の森に黄金が埋まる」という阿児町鵜方地区の伝承から、太陽を二つの円に表し茶葉をくわえた鵜が陽の光を浴びて輝く姿を表現しています。ティーカップは、志摩市の英虞湾の真珠をイメージしたパールホワイトをチョイスしました。
鵜方紅茶とNARUMI「ミラノビアンカ」で優雅なひとときをお楽しみください。