昭和57年、先代園主・向島和光が農園を引き継いだ時より、
無農薬・無化学肥料による完全有機栽培に取り組んできました。
それから20年以上、様々な農法を試してきました。
そして、幾度となく失敗と試行錯誤を繰り返し、やっと現在の形に至っております。
最初の頃は、それまでの農薬や化学肥料の影響により茶木自体の生命力も弱く、
ほとんど収穫する事が出来ませんでした。
やっと以前の収穫量に戻ったのは6年目でした。
その時の喜びは今でも覚えています。
現在はこだわりの有機肥料を使用し、
製造・加工には裏山から湧き出る清水と、水還元装置(ダイポール)を使用しています。
また、収穫に使用するお茶刈り機の歯などには、安全な食品用油を使用しています。
自然との調和を大切にし、お茶の声を聞きながら安全・安心なお茶を作る。
これこそが先代園主・向島和光の原点なのです。
自分で育てたお茶は自分の子供同様に大切な命。
最後まで責任を持って送り出したい。
そんな想いから、工場の増築と機械の導入に踏み切り、自園自製しております。
機械での製茶作業と言えども、すべての工程の見極めは人間の五感に委ねられています。
まして完全有機栽培のお茶は葉肉が厚く繊維が強いので、加工がたいへんです。
気温・湿度・茶葉の状態など、条件はその日によって大きく異なります。
製造工程において、
お茶を生かすも生かさぬも、わずか1、2秒のタイミング、1、2度の温度の見極めにかかっています。
機械だけでは到底カバーすることの出きない、製造・加工に携わる人間のセンスが問われる瞬間です。
そして、妥協が許されない、感性と経験を駆使した世界がそこには存在します。
これこそが先代向島和光の目指す世界でした。