富士山と湖ー。まるで名画のような絶景が目の前に広がる富士河口湖町。町名にもある河口湖だけでなく、西湖(さいこ)、精進湖(しょうじこ)、本栖湖(もとすこ)と富士五湖のうち4つの湖を有し、四季折々の表情が楽しめる魅力にあふれた町です。
富士山麓に広がる森の中、青々とした木々にすっぽりと包まれるように佇むのが、松山油脂株式会社富士河口湖工場です。返礼品となっているバスセット「LEAF&BOTANICS」をはじめ、厳選した素材を使用し、使い手の心地よさや安全性を追求した化粧品やボディケア、ヘアケア製品を製造しています。
返礼品の「LEAF&BOTANICS」(ラベンダー)は石けんとボディローション、ボディスクラブ、バスシュガーのバスセットでいずれも100%天然精油を使用。植物本来の自然な香りが楽しめるシリーズです。シリコーン、パラベン、合成香料、合成着色料、鉱物油などを使わず、必要な素材のみを厳選して配合。優しい使い心地、ほっとする香りは体だけでなく、心も穏やかにしてくれる製品です。
松山油脂のはじまりは約100年前の1908年にさかのぼります。東京・墨田区で雑貨商として創業し、戦後すぐに石けん作りをスタート。当初は大手メーカーの製品を中心に製造していましたが、1995年、差別化を図るために自社ブランド「Mマークシリーズ」を発売して大きく舵を切りました。社名のイニシャルを背負ったMマークシリーズは素材を“引き算”。「毎日、心地よく使ってほしい」という思いから、無駄なものを削ぎ落として必要なものだけを配合した製品です。
このMマークシリーズをはじめ、松山油脂のコアとなっている技術が釜焚き製法です。仕上がりまでに4日間を要し、天然の油脂を主な原料とする昔ながらの製法。東京都の墨田工場では今でも、釜焚き製法で純石けん素地を作っています。
「肌と自然に優しく」という松山油脂の思いをさらにカタチにしたのが、2006年に建てられた富士河口湖工場。敷地内には、製品が購入できるファクトリーショップも併設されています。
深呼吸をすると、体の隅々まで浄化されるような清々しい空気、鳥やセミたちのにぎやかな鳴き声。大自然のパワーを肌で感じられる工場に佇むと、製品を通して自然の力を最大限に引き出したいという松山油脂の思いがひしひしと伝わってきます。
ラベンダーの香りに満ちた工場内で、まずはスタッフの多さに驚きました。ラベル貼りや計量など手作業での工程も多く、スタッフの目が行き届く少量生産も特徴。どのブースでもスタッフさんの元気なあいさつが飛んできます。「うちの製品が好きで入社するスタッフは多いため、良いものを作りたいという思いが共有されている。だから、元気の良いあいさつは製品への誇りから生まれているんだと思います」と千葉和将(ちばかずまさ)工場長。人の手と目を通して丁寧に作られる製品の品質は、スタッフたちの“愛情”と“誇り”によって守られています。
素材、品質へのこだわりがぎっしり詰まっているのが返礼品のバスセット「LEAF&BOTANICS」(ラベンダー)です。生活に豊かさや心地よさをプラスしてほしいというコンセプトで誕生した「LEAF&BOTANICS」は無駄を省いたシンプルな素材をベースに、植物のエキスや精油を配合。色や香り、肌への効果を楽しんでもらうシリーズです。
バスセットの「マザーソープ(ラベンダー)」は保湿成分がほどよく残り、しっとりとした洗い上がりが特徴。使った瞬間、ラベンダーの自然な香りに包まれます。ボディローション(ラベンダー)はシア脂とサトウキビ由来のスクワランを配合。潤いのある肌に仕上げてくれます。ボディスクラブ(シュガー)は2種類の砂糖をスクラブ成分として配合し、バスシュガー(ラベンダー)は保湿効果のある砂糖がまろやかなお湯にしてくれるので、肌がカサつく季節におすすめ。どれもお風呂タイムが待ち遠しくなる製品です。
釜焚き製法という昔ながらの作り方を守る一方、新しい価値への挑戦も続けています。その1つが、原料の栽培。徳島県に果樹薬草園、山梨県に研究農園を持ち、果樹や有用植物を育てています。すでに収穫した柚子はエキスを抽出し、製品として使用。「素材の質を突き詰めていくと、自分たちで原料も作りたいという思いに行き着くんです」と千葉さん。
無駄なものを削ぎ落とし、厳選した素材のみを使用する松山油脂の柱となっているのは、「デイリーウエルネス」という理念。体だけでなく、心身の健やかさ、日常の豊かさ、社会の“健康”も大切にしたいという松山油脂の思いが、すべての製品たちに反映されています。
工場から車で数分行くと富士山の威容が目の前に。雄大な富士山に育まれた水、木々、生き物たちが生き生きと輝く場所にある工場を訪れ、自然と寄り添って生きる企業としての揺るぎない信念を感じました。
製品に込められた愛情は、つまり使い手への思いやり、優しさです。「使う人の心を自然に、穏やかに」という松山油脂の思いが込められた「LEAF&BOTANICS」からは、富士山に抱かれた大自然の優しさを感じることができるでしょう。
群馬県桐生市在住。北関東と埼玉を中心に取材・執筆活動をしています。一番、大切にしたいのは、人々の「思い」です。いろいろな「コト」や「モノ」に携わっている人々の“代弁者”として、頑張っている姿、その根底にある思いなどを多くの人たちに伝えることができたら嬉しいです。
以前、河口湖周辺に仕事で訪れていた時期があり、その時、印象的だったのが水の美しさ、美味しさでした。富士山が育む自然の奥深さを実感できる場所です。