加賀百万石のきらびやかな文化が息づく石川県。徳川将軍家に次ぐ大藩だった加賀藩は、その豊かな財力を文化政策に注ぎ込み、さまざまな伝統工芸が発展しました。長い歴史とともに受け継がれてきたものづくりのDNAが、今も石川県の産業を支えています。
石川県南部にある加賀市は、加賀温泉郷で知られる観光のまち。山中漆器や九谷焼など、伝統工芸が盛んなエリアでもあります。こうした伝統の技術力やノウハウを生かし、新たな価値を生み出す企業として近年注目を集めているのが、プラスチック製品メーカーの石川樹脂工業です。
専務取締役の石川勤(いしかわつとむ)さんが、返礼品の素材について説明してくれました。
驚くのは1000回落としても割れないという耐久性です。だからこそ、返礼品には「生涯割れない保証付き」。本当に割れないんですか?という問いに「割れません。もし割れてしまったら無償で交換します」と石川さんも自信たっぷり。「弾力性があって、力を加えても割れないんですよ」と、製品の一つであるタンブラーをぎゅっとつぶして見せてくれました。
この耐久性を実現したのは「トライタン」という新素材樹脂。ガラスのような透明度があり、耐熱温度は100度なので熱い飲み物にも使えます。もちろん食器洗浄機もOK。有害物質を含んでおらず、哺乳瓶にも採用される安全性の高い素材です。
石川樹脂工業は戦後間もない頃に創業しました。漆器の木地販売からスタートし、時代のニーズとともに素材を木から樹脂へとシフト。食器から仏具、工業用部品などの分野に進出するなど、常に新しい挑戦を続けてきました。
創業時から根底にあるのは「誰もやらなかったことをやる」という精神。新しい挑戦、新しいアイデアを大切にするのが同社流です。石川さんが取り組むのは、プラスチックに新たな価値を見出すこと。「近年は環境問題などで、プラスチックは悪者という風潮があります。リサイクルに関しても、実はほとんどのプラスチックは燃料として燃やされています。私たちは企業の責任として、環境負荷について考えていきたいんです」と、100%リサイクル可能なトライタンに、その思いを託します。