川崎市は、「音楽のまち」と言われていることをご存知でしょうか。市内には、世界水準の音響と評されるミューザ川崎シンフォニーホールをはじめ、市のフランチャイズオーケストラである東京交響楽団が地域に密着した演奏活動を行うほか、2つの音楽大学、4つの市民オーケストラ、100を超える市民合唱団、企業の吹奏楽団や合唱団など多くの音楽資源があり、多彩な活動を行っています。
イヤホン・ヘッドホンブランド「final(ファイナル)」を展開する株式会社finalは、ここ川崎にオフィスと工場とを構え、開発や製造チームなど全ての社員がひとつになりながら、日々高い品質を追求しています。
この日は、finalの営業担当である工藤さん(写真右)と森さん(写真左)にお話を伺いました。素敵な笑顔でお迎えいただいたオフィス兼工場は、元製紙工場だった場所をリノベーションして作られたもの。白を基調としたシンプルでかっこいい空間に並ぶ、アンティークの家具やオブジェ。そこには、イヤホンやヘッドホンといった自社製品に対する、「アンティークとなるまで使い続けてもらえるような製品を作りたい」という思いも込められているそうです。
まずは、会社名にもなっている「final」についてお話しいただきました。「自社ブランドである『final』が誕生したのは50年ほど前のこと、レコードプレーヤーのピックアップの先端に取り付けるカートリッジという部品から始まりました。マニアに向けた独創的な製品を作り、当時はカートリッジからアンプ、スピーカーまで全体最適化された一体のシステムで販売を行なっていました」。
据え置きのオーディオ機器から始まった「final」は、音がどのように聞こえるか?いい音とは何か?という科学的な研究をずっと続けてきました。2009年にイヤホンを発売するようになって以来、音質の良さと、他の家電大手とは異なるデザインへの考え方が評価され、独自の立ち位置を日本、海外ともに確立しつつあるそうです。
「感覚的だけでなく、技術的なところから音を追求するプロセスを大事にしようとやってきました。音というのは物理現象なので、とにかく化学的に『いい音』というものを突き詰めています」と、工藤さん。その研究も、ここ川崎のオフィスで行われているとのこと。音を伝える広報や営業も、音を追求する研究者も、音を作る技術者までもが、同じ場所に一堂に集まって日々仕事をしていることが自分たちの強みであるといいます。