かんざしの歴史は長く、古くは縄文時代から当初は身を守るお守りとしての役割を果たしていたとされています。
また、自然の草花には強い生命力が宿ると信じられ、髪に着けられるようになったのがはじまりです。
現代のように装身具としての役割をはじめたのは、日本髪が結われるようになった江戸時代以降のことです。当時、人気を博した遊女や歌舞伎役者の結髪が流行りとなり、次第に庶民へと広まっていきました。
数百種類にも及んだ日本髪に伴い、櫛やかんざしも無くてはならない存在となり、女性の髪を彩るようになりました。鋳かんざしの主だった素材は「金、銀、銅、真鎗(しんちゅう)」などの金属を巧みに組み合わせ構成されています。
錺職人(かざりしょくにん)の四代目として受け継いだ技術を大切にしています。
かんざしが作り上げられるまでには、「下絵」「切り回し」「たたき彫り」「打ち出し」「口ウ付け」「磨き」「組み立て」と実に様々な工程があります。分業制によって作業をされている工房も多いですが、私は全ての工程の作業を行っているのが特徴です。
これからの私の目標は、まず一番にもっと腕を磨き上げていく事です。
さらには、歌舞伎・日本舞踊などの伝統的な簪を製作することが多いのですが、それを自分なりにアレンジして一般の人達が身近に着けられるような和装小物を作り続けていくことで、日本の文化である簪が絶えないように一人でも多くの女性に着けてもらい、その人が家の宝物のひとつとして代々引継いでいただることが職人として一番の喜びです。
特に強みを持つ技術は、「切り回し」と「組み立て」です。
・正確で繊細な「切り回し」
・長年に渡り磨かれ続けてきた感性が光る「組み立て」
この2つの優れた技術があることで、高い表現力と独創性を演出しています。
ぜひ、優美で粋な作品の数々をご覧ください。
三浦 孝之(みうら たかし)
墨田区伝統工芸保存会
すみだマイスター
東京マイスター認定
■略歴
1993年 父(三代目)の師事を受け始める
1996年 墨田区伝統工芸保存会入会
1998年 保存会職人展、その他百貨店等の製作実演に出始める
2001年 東京都青年優秀技能知事賞受賞
2002年 アメリカ、シカゴにて製作実演
2004年 平成中村座ニューヨーク公演にて製作実演
銀座松屋 和の座ギャラリーにて個展
2006年 すみだマイスター認定
2007年 平成中村座ニューヨーク公演にて製作実演
2010年 「錺かんざし」がすみだモダン認定製品として選定
2020年 東京都優秀技能知事賞受賞(東京マイスター認定)