桐たんすが一般的に使われ始めたのは、江戸時代から明治初期にかけての頃とされています。それまでは、長持(ながもち)や橿(ひつ)などが広く使われていましたが、衣類など人々の持ち物が増えていくにつれ、たんすが必要になってきたのでは、と言われています。
桐たんすは、女性でも持ち運べる軽さと丈夫さが特徴です。当時は桐たんすの側面に持ち運び用の取手金具が付いていたなど、とても実用性に優れた製品として好まれ、女の子が生まれると桐を植え、結婚する際にその桐でたんすを作り嫁入り道具するという風習があったほどです。
桐たんすが作りあげられるまでには様々な工程をあります。
従来は各工程の専門性を求める為に分業性を敷く工房も多いのですが、私が全ての工程の作業を行っているのは特徴の一つです。
その為、手間や労力はかかりますが、細部にわたりこだわりを実現することができています。
・お客様一人一人から要望をお伺いしてそれに基づいてモノづくりをする
・お客様が本当に欲しいと思うモノを形にする
今まで培ってきた技術も経験も、全てはお客様の為にと思っています。
私が作ったものに喜びを感じ、良かったと思ってくれる人が一人でも多く増えることが私の夢です。
「100年使える桐たんすを作る」それが製品への想いです。
修理後100年使用できるたんすを目指して修理・修復も行っております。
優れたタンスを作るには“工法"と“使用材の正しい選定"だと考えています。
その二つの技術を高い技術により支えられて完成した桐たんすは、寸分違わぬ正確さと美しさを誇り、引いた引き出しを戻すと、その戻す際の引き出し裏にある空気が逃げ場を失い、別の引き出しが飛び出てきてしまう程の精密さになります。
田中 英二(たなか えいじ)
■略歴
1988年 桐たんす伝統工芸士「田沢謙介」氏に師事
1990年 桐たんす仕上げ職人「高木新一」氏に師事
1996年 墨田区長より「すみだマイスター」認定を受ける
1997年 第5回すみだマイスター創作大賞で作品「桐の中の切り子」で大賞受賞
1998年 銀座松屋にて「グループ生き粋の仕事展」出品
1999年 「伝統的工芸職人による作品展」において最優秀賞受賞 受賞作品「桐のカウチ」
建築家・川口とし子さんとのジョイントでイタリアミラノにて個展開催。
東京銀座で行われたレセプション会場にて約200名の前で製作実演を行う。
2007年 テレビ番組の劇的「ビフォー・アフター」で桐たんすの削り直しを行う。
2010年 独立して株式会社二葉桐工房設立
2012年 「RAKUZA」がすみだモダン認定製品として選定
2017年 東京都優秀技能知事賞受賞(東京マイスター認定)