3.11 の大津波で壊滅的被害を受けた陸前高田で復興支援として伝統的な椿油をつくる製油所を開設しようとした時、全国のたくさんの方たちがご支援くださって実現した工房です。
その工房は、陸前高田の復興の一端を担いつつ、沖縄、福島、インド、ネパールにもつながり新たな役割を担うことになりました。スタッフたちはチョコレートづくりの経験を積み、技術を磨き、知識を蓄え、沖縄でチョコレートづくりの環境が整った時、いつでもサポートできるようにしたいと、懸命に取り組んでいます。
LISA(Low Input Sustainable Agricultureの略)=低投入持続型農業とは、農薬や化学肥料、石油エネルギーの使用を抑え、自然生態系の力を活かし、収量を維持しながら高い品質を目指す持続可能な農業のことです。作る人と食べる人の健康と暮らし、豊かな大地を守ります。
カカオ豆は南インドのカルナータカ州シモガ県の村から届いています。福岡正信氏から、環境と調和し自分たちの暮らしに合った農業を学んだという農民の方々。リスクを分散させるため、多品種の作物をカカオと共に育てています。インドとアメリカの有機証明を取得しています。ネパールのシリンゲ村に、コーヒーの有機認証検査のために来られた国際有機認証検査官ジャイさんを通して出会いました。これからも現地に足を運び、直接話をして信頼関係を築いていきます。
使用しているのはインド産カカオ豆、沖縄の「西平黒糖」の黒糖・粗糖、ネパールの村から届くコーヒー、スパイス。作り手の顔が見えて、LISAの概念に則り栽培された原料のみ。それぞれの素材本来の味わいが広がります。
チョコレートは一般的に、カカオ豆が本来持っている油分に、カカオバター(カカオ豆に含まれる脂肪分のみを抽出したもの)で油分をさらに追加して作っています。生産者や製造方法が明らかで安心して使用できるカカオバターはなかなか手に入らないので、私たちはカカオバターを使用しない製造方法を選択しました。カカオ豆本来の油分のみで滑らかなチョコレートをつくるのは難易度が高く、職人レベルの技術を求められます。手間暇惜しまず、少量ずつ70時間以上練って滑らかさを出しています。僅かな温度変化にも敏感なため、ブルーム(チョコレートの表面が変質して白く固まった状態)も出やすいのですが、品質には全く問題がありません。安心してお召し上がりください。油っぽくなく、すっきりとした味わいです。
乳化剤など添加物は一切使用していません。
今後、志を同じくする仲間と共にチョコレートづくりに取り組めるように、小規模、小資本でできる設備と製造法を模索しました。原料にこだわり、手間暇惜しまず、一枚一枚丁寧に仕上げた希少なチョコレートとなりました。
「沖縄カカオプロジェクト」は、沖縄でカカオの木を育て、チョコレート作りまでの一貫事業を行うことにより、沖縄に新たな産業をつくり、仕事の機会を生み出すことを目的としています。名護と久米島でカカオの苗を育てています。現在は「ネクストステージ」に施設外就労として働きに来ている、社会福祉法人「ゆいとぴあ」の皆さんがインド産カカオの豆の選別、ロースト、ニブ加工を担っています。
沖縄で育てているカカオに実がなるまでには数年かかるので、まずは南インドの村からカカオを直接輸入し、岩手県陸前高田市にある「椿のみち」でチョコレートの製造をスタートしました。「椿のみち」は、3・11の大津波で壊滅的被害を受けた陸前高田で、復興支援として伝統的な椿油をつくるために開設した製油所です。全国のたくさんの方たちのご支援のお陰で実現しました。地元スタッフたちは、チョコレートづくりの経験を積み、技術を磨き、知識を蓄え、沖縄でチョコレートづくりの環境が整った時、いつでもサポートできるようにしたいと懸命に取り組んでいます。
コーヒーやスパイスは、ネパールのカンチャンジャンガ紅茶農園やシリンゲ村、グルミ村など奥地の村々で有機栽培されています。村人たちの収入の機会となり、生活向上につながっています。
私たちのチョコレートづくりは始まったばかりなので、充分なオーダーは出せていませんが、インドでカカオ栽培に取り組んでいる村々にも貢献できるよう、これから頑張っていきたいと思います。
決して起こしてはならない、起きないはずだった原子力発電所の過酷事故。その事故により放射性核種に汚染された環境に暮らさざるをえない子どもたちがいます。大人以上に子どもたちは放射能の影響に敏感です。子どもたちは自分で身を守れません。子どもたちの健康への害を少しでも減らし、元気に過ごせるように私たちに何ができるでしょう。
沖縄カカオプロジェクトを企画した時、支援し続けたい福島と周辺(事故の影響は福島県に留まりません)の子ど子どもの未来を守る福島と周辺の子どもたちをどうしたら結び付けられるだろうと考えました。沖縄の久米島に「球美の里」という子どもたちの保養施設があることを知ってプロジェクトの拠点の一つを久米島にしました。
青く大きな空と美しい海、白い砂浜と南国の植物。この世の楽園といった島で思いっきり外遊びをする子どもたち。汚染されていない場所でしばし過ごすことが免疫力を回復させ健康を保つと言います。それならこの場所を、子どもたちがいつでも来られるように守りたいではありませんか。
寄附付きのチョコレートをご購入頂くと、代金のうち100 円~を「球美の里」に寄付します。(※詳細は各ページをご覧ください。)福島原発事故による放射能汚染地域に住むこどもたちの保養支援につながります。
3・11 の東日本大震災によって福島第一原発で事故が発生し、大量の放射能が環境に放出されました。旧ソ連のチェルノブイリ事故と並ぶレベル7の深刻な事故の影響は計り知れません。チェルノブイリ事故の被災者救援活動を続けた経験に基づき、子どもたちを汚染から少しでも守り健康被害を減らすためには保養が必要と知る有志により球美の里は設立されました。賛同する企業や団体、個人の寄付によって運営が続けられています。
保養は福島県や周辺地域に住み続け、放射能の影響を大人以上に強く受ける子どもたちにとって欠かせません。汚染されていない地域で短期間でも生活し、汚染されていない食品をとり、思いっきり外遊びをすることで免疫機能が改善します。気にかけてくれる人々や動植物と触れ合うことでストレスから解放され精神も安定します。チェルノブイリ原発事故では30 年以上経った現在も保養は続けられています。通年で保養を受け入れている球美の里は貴重な施設です。
いまだ原子力緊急事態宣言下であるにもかかわらず、事故のことが風化しつつある今、民間の寄付が主な収入源である球美の里の運営はどんどん厳しさが増していくと案じられます。子どもたちを守るのは大人世代の責任です。できることを少しでも続けましょう。このカカオプロジェクトの売上の一部は球美の里に寄付されます。