山中牧場の考え方の根底にあるのは「自分たちがおいしいと思ったものを提供する」ということ。
牛乳はもちろん、昭和55年に導入した黒豚飼育も、実はこの考え方から始まったものです。
原種はイギリスのバークシャー種。通常の豚肉よりも脂肪にコクとうまみがあり、肉質も驚くほどまろやか。
山中牧場では、この豊かな味わいをご家庭で存分に堪能して頂くために、九州は鹿児島県から直接黒豚を仕入れ、飼育及び加工処理さらに宅配まで一貫して行っています。
飼育の方法も牛乳同様、わらなどを敷いた広い豚舎で、粗飼料(デントコーン・サイレージ)を与えるという、まさに完全なる自然流です。
創業者の山中純孝がこの地で酪農を始めたのは、高度経済成長に突き進む1970年(昭和45年)のことです。
江別市にある酪農学園大を卒業して間もなく、自然が豊かでなおかつ都会に比較的近いことから、ここを選びました。
赤井川村は大きな石がごろごろ埋まるカルデラ盆地のマチです。
ここを牛がのんびりとくつろぐ牧野に変えてゆくのは、並大抵のことではありませんでした。
乳牛数頭からはじめ次第に数を増やしていきましたが、行政や農協系統が呼び掛ける「北海道は日本の食糧基地。
多頭化し大規模経営を目指そう」との掛け声に、いつしか疑念を持つようになりました。
「大規模化することで、本当に安全・安心で、おいしい牛乳を作れるのだろうか」――。
悩んだ末に「1頭、1頭、牛の健康状態が分かるような牛飼いをやろう。
山中牧場ならではのおいしい牛乳を搾って、消費者の元に届けよう」――。
これが牧場の原点となりました。
その後法人化しましたが、「企業より家業としての牛乳づくり」が変わらぬ信念となっています。